2019.04.04

【コラム】木造住宅の耐震設計の実態(1)

耐震と制震

木造住宅の耐震について不安があるが、実態が良く分からない。そのような声にお応えするため、こちらのコーナーにて住まいの耐震についてのコラムを4回にわたり連載します。これから住宅を建てようと考えている方が知っていて損はしないお話です。今回はその第1回目となります。

 

 

最低か最適か?

ご存知の通り、日本では建築基準法に従い建物を建てるのが大原則なのですが、その第1条で記している基準法の
「目的」においては、「最低の基準を定める」と記しています。「最適」ではありません。つまり「この法律には最低の基準を書いていますのでこれを守れば罰則はないですよ、建物をさらに強靭にする時は、建主と施工者で決めて下さいね。」ということです。

 

 

当然ながら、建物の強度を落とせば落とすほど原価を下げることができますので、経済性を優先し、最低のギリギリの強度で建物を建てる施工者も存在します。ただそれが将来の不確実な地震に対して危険かどうかについては、何とも言えません。断言できるのは、耐震強度を強くすればするほど、倒壊や損傷のリスクは下げられるということだけです。

 

 

どんなに強くつくったとしても、100%安全とは言い切れません。地震に関して未知な事があまりにも多いからです。最近でも、古い家屋が地震で倒壊したという事例は枚挙にいとまがありません。理由は古い時代の耐震基準が緩いため、巨大地震への備えが不十分だったからです。

 

 

2016年4月の熊本地震で最新の耐震基準の住宅が倒壊したという事態が発生しました。1回目の地震で建物の一部が損傷し耐震強度が弱くなったところに、2回目の地震に襲われ倒壊したというのがそのメカニズムです。倒壊した住宅の中には、ハウスメーカーの住宅も含まれていた様で、最新の耐震基準でも絶対はないという実例が発生してしまいました。

 

 

この結果、最低の基準ではもはや物足らないという通念が、最近では出来上がりつつあります。

 

第2回へ続きます

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