2019.02.04

【コラム】木造住宅の耐震設計の実態(3)

耐震と制震

時にはモラルが問われる場合も

 

 

前回のコラムでは、木造2階建て住宅では、構造設計は免除されていることを説明しました。そして、その代わりに、規定している仕様を守れば良いというお話もしました。

 

 

実は、もっと恐ろしい話があります。建物を建てるにあたっては、しっかりと法律を守っていることを行政にチェックしてもらう確認申請が義務なのですが、その確認申請書には「構造設計に関する部分は添付する必要はありません」という、何とも理解に苦しむ特例があるのです。(第6条の3)

 

 

つまり「これから建てようとする木造2階建て住宅が、しっかりと耐震性能が確保されているかどうかを行政は確認しませんので、設計者の技術水準とモラルを信じています」ということです。実際に利益優先でこの特例を悪用し、ある分譲住宅業者が、仕様規定で定められた耐震壁が足りていない住宅を1000棟程建てていたという事件もありました。

 

 

この特例ですが、実は2008年に特例の悪用が目に余ることから廃止の方向へと国も動いたのですが、今現在でもそれが廃止になっていません。経済活動最優先の国の方針なのか、業界の反発なのか、理由は定かではありません。
これから住まいを建てる方は、このような実情をご理解の上、住宅会社と向き合い、そして、必要に応じて耐震性能をレベルアップされることをお奨めします。

 

第4回目に続きます

 

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