前回の記事では、VOCの規制と新建材の開発とが、いたちごっこの様相を呈していることについて書きました。
今回は、平成25年に厚生労働省が実際の住居で空気を測定した結果に、この「いたちごっこ」を証明するような結果が見て取れましたので、ご紹介したいと思います。
全国で無作為抽出したおよそ100の住居、東京圏で同じく100の住居それぞれで、規制の13種類のVOCと、それ以外の物質を総合したTVOCという指標、それぞれの濃度を測定しました。
TVOCとは、規制の13物質以外の様々なVOCの濃度の合計のことで、「総揮発性有機化合物」の略称です。前回の記事にある13種類のVOCの規制値のように、TVOCにも暫定目標値というものを掲げて、業界の自主規制を促しています。
さてそれでは、この平成25年の調査の結果はどうだったのか。
対象の13物質については、指針値を超えた住居の割合はほぼゼロ、多かった物質でも5%程度と優秀な結果だったと思われます。
ところが、TVOCについては、暫定目標値を超えてしまった住居が、なんと35%前後という深刻な結果が出ました。つまり、規制13物質以外のVOCを使用した新建材が普及していると、大いに推測できたわけです。
恐らくこのような実情は将来にわたり続くでしょうから、私たちとしてはこの現実を踏まえた上で対策を講じるしか、残念ながら無いようです。
新築やリフォームに着手する前に、今一度建材の危険性について再確認されることをお奨めします。こちらに、厚生労働省が公表している「シックハウス症候群の予防と対策」という資料がありますので、ご関心のある方は、ご一読されることをお奨めします。
※調査結果の資料は、こちらをご覧下さい。