子供のアクティブな遊びに応える
子供は自分の興味に合わせて、「場所」に自由自在に意味をつけます。
例えば、階段で夢中になってミニカーで遊ぶ子供がいます。大人が上下移動の装置として定義した階段を、彼は遊び場であると意味付けています。子供の遊び場はここですよと、大人が勝手に決めるのはナンセンスなんですね。
押し入れなど、子供から見れば絶好の遊び場なんでしょうね。でも押入れをぐちゃぐちゃにしたり、ベッドをトランポリンと見立てたりの子どもを見過ごす訳にはいきません。大人にも大人の都合がありますからね。
子供って、空間の特徴を無意識に察知して、そこでチャレンジングに体を使って遊ぶのが好きですよね。かつて人類が狩猟をしていた時代に由来する、本能的な衝動なのでしょうか。
子供には体を動かすアクティブな遊びをしたいという都合があるわけですね。ただ、理性の強い大人とそうではない子供同士の、それぞれの都合を満たすには、住宅の設計で解決させるしかないようです。また、子供の興味の対象は、年を追うごとに変わっていきます。だから、その興味の変化に対応できる空間が欲しい所です。
以上の問題に対して、これまでの設計打ち合わせを通じて得られた解決策としては、
・ 室内に近い屋外に、使い方の自由度の高いエリアを設けておくこと。
・ 家族が集まるリビングダイニングの近くに、狭くても子供が自由に使えるエリアを確保すること。
・ 階段が吹き抜けに面していれば、アクティブな遊び場としやすいこと。
などが例としてあります。
これまでの当社のお客様には、ターザンロープや、上り棒、雲梯を設置した事例があります。
将来取り外せるので、簡単に採用できる良い例だと思います。
子供の興味に一緒に取り組んでみる
次に、親がやっていることにチャレンジすることについて考えてみましょう。
例えば料理。特に女の子は、ままごとから発展して幼い頃から料理に積極的にチャレンジする例も多い様です。材料を揃えて手順を踏みながら作業を進め、その結果、美味しいお菓子やお料理が完成する。子供にとっては、一大プロジェクトなのでしょう。
母娘が一緒に料理に取り組みやすいキッチンを配置の面で考えると、アイランド型なら母娘が対面して作業をする位置関係となるので、お話もしやすいでしょう。キッチンの真横に食卓を配置すれば、食卓がお子様にとって丁度良い高さの作業台となりますね。更に、下の写真の様に、庭の真横にキッチンを配置して、庭とキッチンを自由に行き来できるようにすれば、休日に家族みんなで料理して、庭で食事をするというレクレーションも想定できます。
料理以外の何でも、やってみて楽しいと感じることが上達への近道だと思います。設計の工夫で、できるだけ楽しいと感じていただける演出ができればと思います。