ヨーロッパの古い町並みに独自の風格を与えているのが、石の屋根。
屋根材に用いられる石は、粘板岩。川や湖の底にたまった泥が長い年月を経て固まり、さらに圧力がかかって出来た石です。板状に剥がれる性質があり、屋根用に薄く加工しやすい上、酸化した状態が科学的に安定してとても硬く、耐久性にも優れています。何億年もかかって出来た石だから、後何百年経ったとしてもその美しさも強さも変わることはありません。
石屋根を止める金具がステンレス製なので何れは金具交換が必要になりますが、それでも50年はメンテナンスフリーなのです。一方で、一般的に用いられている人工スレートは10年程度で退色がはじまり、撤去時の健康被害も懸念されます。
ヨーロッパには、建物も持ち物も「子へ孫へと永く受け継がれていく」文化があります。その人々が、屋根材に石を選んだのは単に美しかったからだけではありません。
天然石は、ヨーロッパの精神にならった永年仕様のクオリティなのです。
(平原績)