「収納のセンス」といえば、見た目を美しくモノを片付けることが出来る器用さや、発想の豊かさを指すのでしょうね。一般的に「収納の技術」とは、便利な収納グッズなどをうまく取り入れながら、限られたスペースを有効活用し、モノをスッキリと片付ける手法を指します。
ところが本当の意味での収納は、こうした表面的なセンスや技術で完結するものではありません。
例えば、モノの量が収納スペースからあふれる多いのであれば、収納の議論以前にモノを捨てるべきですよね。
さらに、どうして捨てるほどのモノが存在しているのかを追求し始めると、モノの買い方や保存の仕方にまで行きついてしまいますよね。
収納の概念は、実はモノを買う段階から始まっていると思います。モノを買って、保存し、捨てるという流れの中での、量のバランスが鍵。自分の価値観やライフスタイルに合った、ベストなバランスを見つけ出し、維持していくことが、真の「収納」ではないでしょうか。
このバランスを保つ秘訣は、一つひとつのモノと丁寧に向き合うこと。そして自分の価値観に合わせてルールを定めて実践することだと思います。
ここで、所有するモノの量のコントロールの秘訣について少々。買って住まいに持ち込む前に、
・ 何のために買うのか?
・ 家の中にしまう場所があるのか?
・ いつ使うのか?
・ どれ位必要なのか?
を考える習慣を付けましょう、というのが教科書的な教えですが、更に一歩踏み込んで、そのモノが家に入ることで、日常にどんなストレスが生じるか?を想像してみるのはどうでしょうか?
どんどんと、家の中がモノで溢れていくシーンを思い浮かべるとなお良しかもしれませんね。
それでは、たっぷりと収納場所を作っておけばいいのでしょうか?または、限られたスペースにたくさんしまえる様に工夫して、そこに詰め込めばそれでいいのでしょうか?
真に「機能的な収納」というものは、何かを使いたいときに、使いたい場所ですぐに取り出せて、その後しまいやすいという収納です。
やたらと収納を充実させることはそんな機能的な収納からは程遠い気がします。快適な暮らしを損なうのではないのでしょうか。
家の中の全てのモノが、しまうべき位置に使いやすく収まっていれば、家全体のモノを適量に維持出来ていると判断してよいでしょう。
機能的な収納を実現させるポイントは、それぞれのモノにとって最適な指定席は何処であるかを考えること。収納場所を変えるだけでも、ずいぶん快適さが増すものです。
更には、何と一緒にまとめて収納しておくのかも大事。生活スタイルも考慮に入れながら、一つひとつのモノの最適な指定席を作っていきましょう。
そして、最後は勇気をもって捨てる事でしょうか。と自分に言い聞かせています。
(平原績)