コラム
MADE IN NATURE

私たちがつくっているのは、未来のアンティークなのです

2023.10.30

「始末する」という言葉があります。

 

今は、片付けるという意味で使われていますが、本来は「命ある物、使える間は使う」という意味です。

 

住宅で使われる木材。樹齢100年の材ならば、少なくとも100年は住宅建材として第二の人生を全うさせてあげたい。本来、日本人にはそのような心がありました。ところが戦後から状況が一変し、耐用年数の短い住宅だけを建てる風潮となりました。統計によれば平均耐用年数はなんと30年、77年であるイギリスの半分以下という悲惨な事態となっています。

 

そもそも、木造住宅を長持ちさせる日本の技術は、圧倒的に世界ナンバーワンを誇ります。温暖湿潤な気候の中、湿気や害虫による素材の劣化を防ぐ工法を研究し続けたからです。それにも関わらず、スクラップアンドビルドを余儀なくされている戦後の住宅事情は、経済を優先し過ぎた政策の失敗と断言せざるを得ません。

 

私たちの身の回りを見渡してみましょう。年月の経過とともに味わい深く風合いが増して、大切に使われているものが沢山あるはずです。家具、革靴、革や帆布のカバンなどがすぐに思い浮かびます。本当は私たち日本人にも、使い込まれて味わい深いモノに価値を見出す心があるはずです。

 

イギリスでは、親から子・孫へと代々継いでいくのは、住まいだけではなく、家具・調度品、衣類や小物までもと言われています。例えば、アクアスキュータムのトレンチコートや、グローブ・トロッターのトラベルケースを親から継ぐのは一般的の様ですね。キズも味わうもので経年変化(つまり、エイジング)を楽しむことがすなわち、モノへの愛着を育むことになるのでしょう。

 

住宅にも「始末をする」という価値観を持ちたい。そう願ってやみません。

 

 

住宅の価値が、20年経過すると査定額ゼロとなってしまう日本の残念な常識。イギリスでは、丁寧に手を加え続けた中古住宅にも、たとえ築100年経過後であっても建物に値段がつきます。この事実を目の当たりにすればとても恥ずかしい気持ちになります。経済性の観点からも長期耐用に優れた住宅の方が、長い目で見ると出費を抑えることができるはずなのに。

 

私たちアイ.創建は、経済面でも優位で始末の良い「100年先の古民家づくり」が理想だと考えます。未来のアンティークをつくるために、それに今取り組むべきであると。

 

そして、イギリスでは脈々と継承されているにも関わらず戦後日本では失われつつあるこの美学を実践するためには、本物の素材選びと職人技の二点が欠かせません。そしてこの理念は国境を超える真実です。

 

私たちは、創業以来育んできたこの価値観を常に忘れないで仕事に取り組みたいと考えています。

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