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かぼちゃが恋しい季節です(2)

(前回の続きです)

ちょっとハロウィンのお話が長くなりました。かぼちゃの話題に戻しましょう。

「みんな(特に女性)大好き」と冠をつけたくなるような「かぼちゃ」。どうして、そこまで言い切れるのか!
小さい頃、女の子はよく言われませんでしたか?

「やっぱり、お前は『いも・たこ・なんきん(かぼちゃ)』が好きやなぁ」って。なんでも江戸時代、大阪のベストセラー作家・井原西鶴が、

「とかく女の好むもの 芝居・浄瑠璃・芋蛸南瓜」

と書いたとか…。(今でも言うのは関西だけかもしれませんが)。

さて、ハロウィンという言葉がまだ日本に浸透していなかった頃に刊行された絵本の中で「かぼちゃ」と言えば、わたしは断トツ『ぐりとぐらとすみれちゃん』。1963年に誕生した『ぐりとぐら』。小さい頃から大好きだった方も多いのではないでしょうか。そのシリーズ6作品目が『ぐりとぐらとすみれちゃん』です。

『ぐりとぐらとすみれちゃん』(作:中川李枝子、絵:山脇百合子)『ぼくらのなまえはぐりとぐら』(ともに発行は福音館書店)』

 

こちらに登場する「すみれちゃん」が、とっても大きなかぼちゃを、ぐりとぐらのところに持ってきたのですが、割るのにみんなで一苦労(おいしいかぼちゃほど、皮が硬いものですよね)。やっとこさ割れたところで、森のみんなとお料理するのです。

できあがったのは、かぼちゃのべちゃべちゃに、ぺたぺたやき、かぼちゃプリン、かりんとう、かぼちゃコロッケ、かぼちゃドーナツ、むしパン、かぼちゃせんべい。ピクニックのように野原にマットが敷かれ、そこに並べられたかぼちゃ尽くしは、どれもこれもとってもおいしそうで(あ~森の仲間がうらやましい!)、読みながら自然に笑みがこぼれてしまいます。

「ぐりとぐら」シリーズに出てくるメニューは、どれもこれも本当においしそうで、そしてすべてがオシャレ!いつの時代でも、子どもにとっては憧れの的でしょう。ちなみに、お料理するときにぐりとぐらがいつも歌ううた。

♪ぼくらのなまえはぐりとぐら 
このよでいちばん すきなのは 
おりょうりすること たべること 
ぐりぐら ぐりぐら

おそらく各ご家庭で節回しが違うと思います。何度も絵本を読んでいるうちに、我が家だけの歌になっていることでしょう。ですから、違う人に「ぐりとぐら」シリーズを読んでもらったら、「それ、違う!」って思う子どももいるかもしれません。

実は、『ぼくらのなまえはぐりとぐら』(編:福音館書店「母の友」編集部、発行:福音館書店)には、この歌のメロディーがたくさん載っているのです!なんと、月刊誌「母の友」誌上で(みなさんはどんな風に歌っていますか?)と問いかけたところ、100を超える歌が、楽譜やテープで届けられたそうで、その結果がご丁寧に全曲(しかもそのうちの十曲は付録のCDに収録されています)掲載されています。

それぞれ愛あふれるものでしょうが、いまだにそのページは眺めることさえ控えています。たくさんのご家庭のあたたかく美しい思い出を尊重しつつも、立ち入ることを遠慮したくて。

さて、余談が長くなりましたが、でっかいかぼちゃを持ってきたすみれちゃん。実はモデルがいるそうなのです。先ほどご紹介した本に詳しいいきさつが書かれていますが、「ぐりとぐら」シリーズが大好きだった4歳の女の子。絵本とかぼちゃとスキップが大好きだったのに、突然の病で天国に召されてしまいました。その子のお名前が「すみれちゃん」。

お母さまは「ぐりとぐら」の作者・中川李枝子さんに「生前、元気なときも、入院しても、「ぐりとぐら」シリーズを本当に楽しんでいたこと、(病気がひどくなりご飯が食べられなくなっても)『ぐりとぐらのえんそく』のお弁当の場面を開いて、「今日はこれにする」と、食べる真似をしたこと…。娘に幸せな時間を与えてくださって、ありがとうございました」とお手紙をしたためたそう。

それがきっかけとなり、すみれちゃんのお母さまと中川李枝子さんとの間で文通が始まり、手紙のやり取りを通してすみれちゃんの姿が中川さんにはくっきりと浮かんでくるようになったそうです。そして、できた作品が『ぐりとぐらとすみれちゃん』。絵本の中で楽しい時間を過ごしているすみれちゃんを見るたびに、とてもせつないのですが、すべてのことが愛おしく、すべてのことをありのまま大切にしたくなります。

ぐりとぐらもハロウィン仕様

 

「ハロウィンなんて!」って思う方も、(見新しいものを受け入れ自分事にするのが、日本人って得意だよねぁ)なんて思いつつ、すみれちゃんに免じて、カボチャスープなど召し上がりながら、心も体もぽかぽか楽しく過ごしてくださいね。